日本における死生観
死生観の定義は、国・民族・宗教などによって大きく違います。この日本にも独自の死生観があり、長い歴史の中で様々な変化を遂げてきました。
最古のものでは、『日本書紀』に「黄泉の国」の描写が登場します。神話の時代には、人は死ぬと別の世界に行くという観念が定着していたようです。また、死者の霊魂は浄土に行くだけでなく現世に戻ってくることもあるとされていますが、これは中国やインドなどで定着している輪廻の考えと通じるものがある点はユニークです。
その一方で、日本は四季の移り変わりが明確なことから、季節の変化やその中で散っていく花々になぞらえて、「生命ははかないもの」という概念も根強くあります。これは、後に日本に入ってきた仏教における「無常観」とも結びついて、より一般的な感覚として日本人に浸透していきました。
やがて、常に死と向き合っている武士の社会となったことで日本人の死生観はさらに変化、「どうせはかない人生ならば楽しく生きよう」という浮世享楽の思想も、江戸時代の町民の間に浸透しました。
また、武士の切腹や太平洋戦争の時の「神風特攻」の影響か、自殺的行為や自己犠牲による自死が、日本人特有の死生観のあらわれであるという解釈が、欧米では定着しているようです。